
不動産のお仕事は、現地実査をおこなうことが頻繁に発生します。
今回は、実査の際の熱中症対策装備の貸与と、暑熱時実査の運用ルール策定の提案です。
なぜ今か①:社会状況

2025年の熱中症救急搬送者数100,510人(調査開始以来初の10万人超・過去最多)。
2024年の熱中症死亡者数は5〜9月で2,098人と交通事故死(2,663人)に匹敵。
職場の熱中症死傷者数も増加傾向。
出典:総務省消防庁・厚生労働省
なぜ今か②:法令(最重要)

改正労働安全衛生規則(2025年6月1日施行)により職場の熱中症対策が義務化。
対象:WBGT28℃以上または気温31℃以上で、連続1時間以上または1日4時間超の作業。
義務内容:報告体制の整備、悪化防止措置(離脱・冷却・受診等)の手順策定と周知。
違反時は6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の可能性。
労働契約法第5条の安全配慮義務にも言及すべきで、雇用形態を問わず適用される点も重要です。
なぜ今か③:ガイドライン

ガイドラインが策定され、従来の要綱は廃止された(=昨年の判断時点には存在しなかった)。
実査担当者は暑熱非順化者 → WBGT基準値は26℃(=義務基準の28℃より低い)。
ファン付き作業服等の積極的採用が明記され、効果の数値も示された。
不動産の実査は「対象作業」に該当し得る

軽実査(駅近・30分)/重実査(地方物流施設・空調なし倉庫・広大な敷地・長距離徒歩)/バルク案件(1人1日5〜6件・午後連続の屋外底地調査)など、さまざまなシーンを念頭に整理が必要。
「真夏日の底地一斉実査=気温31℃以上×連続1時間以上=規則上の対象作業」の当てはまる業務が対象となる。
リスクの性質:熱中症は気づいた時には手遅れ

死亡の主因は初期症状の放置と対応の遅れ(改正の趣旨そのもの)。
単独行動の多い実査では発見が遅れやすい。
※私のゴルフでの実体験でも、直前まで元気だったのに、あっというまに体調が変化して、吐き気や頭痛におそわれました。
対策の柱:ファン付きウェアの仕組みと限界

気化熱に頼ることには、限界も正直あります。
外気温が体温を超える環境や高湿度では効果が低下(早稲田大・労働安全衛生総合研究所の検証)。
「万能ではないが、汗の蒸発効率を高め皮膚温上昇を抑える有効な補助手段。
休憩・水分塩分補給・連絡ルールと組み合わせる位置づけ。
製品案:バートル等

デザイン性(街で浮かないモデルあり)、サイズ展開(5L等の大サイズあり=180cm超・100kg超のメンバーに対応可)、価格帯。
※最新カタログで要確認。
費用対効果

概算:ファン・バッテリーユニット2基(3〜5万円)+ベスト8着(2.5〜6万円)=総額おおむね6〜11万円
vs
熱中症労災1件のコスト(治療・休業・労基署対応・レピュテーション)。
命と健康には代えられない。
運用設計(セット提案)

支給対象:班員7名(非正規2名+正規調査担当5名)にベスト各1着+予備1着(臨時参加者・汚損破損時用)=計8着
ファンユニットは共用2基:同時2名着用可/故障時も1基で継続運用/体格差に対応
今夏は試行導入とし、使用実績を検証のうえ次年度拡充を検討(スモールスタート)
運用管理者:班長(保管・充電・貸出管理)——特定個人の善意に依存しない班の役割として
運用ルールイメージ:
①アラート発表日はバルク実査を分割・時間帯調整
②単独実査時は定時連絡
③水分・塩分補給
④体調異変時は即時中断・報告(→規則の義務内容そのもの)
⑤屋外連続作業の長い担当者がユニット優先使用
依頼事項

①装備貸与のご承認
②暑熱時実査の運用ルール策定
③次年度以降の定期見直し