一級建築士の学科試験は独学で対応できる試験だと思いますが、製図は学校に通ったほうが良いと思います。
独学では、働き盛りの期間をいたずらに試験対策に費やすことになります。
そういったわけで、設計製図の対策としては、資格学校に通うことを前提とし、資格学校で出題された課題のノートへのまとめ方をこれからご紹介していきます。
学科に合格されたばかりの方、試験直前に初めてこのブログを訪れた方であっても、ヒントになることをちりばめました。
一級建築士の製図はキャンパスノートの5mmの方眼ノートとフリクションペンでのりきる
私は、製図1課題ごとに、ノートにフリクションペンでまとめて理解を深めました。
使用したのは、キャンパスノートの5mmの方眼ノートです。
授業用のノートなど含め、5冊以上になりました。
キャンパスの黒い光沢のある表紙は美しく、手にとるたびにモチベーションを高めてくれました。
ノートへの書き込みは、フリクションペンを使用しました。インクが無くなってもすぐにコンビニ等で入手できる赤青黒の三色を用いました。
一級建築士の製図対策においてノートにエスキスをまとめる4つのメリット
資格学校で配布されるエスキス手順の解説は、詳細で完璧です。
学科試験を受かった年の製図対策においては、解説プリント同士を貼り合わせて持ち歩くようにと資格学校の先生から指導されたこともありました。
製図の解説プリントだけでは糊付け作業のみに満足して消化不良を起こす
でも、合格できない大半の方が、解説プリントを糊で貼り付けただけで満足してしまっているように見受けられます。
平成27年の製図試験対策中の私もそうでした。。。
解説プリントは詳細過ぎて、消化不良を起こしがちです。
また、全部読んだ気になっていても、実際は気になった箇所しか目を通していないことがほとんどです。
一級建築士の製図でエスキスをノートに毎回まとめるメリット
そこで、平成28年のときは、解説プリントを持ち歩くのではなく、「ノートに設計製図のエスキスをまとめ、そのノートを持ち歩くこと」を徹底しました。
自作ノートを作って持ち歩くメリットはたくさんあります。
一番のメリットは消化不良を防ぐことです。
メリットその1
自作ノートにまとめている間、理解できていない部分で手が止まり、調べたり誰かに質問したりする機会が得られるため、消化不良を最小限に抑えることができます。
資格学校の解説は完璧ですが、自分の理解の薄い部分の解説が省略されていることが多々あります。
また、エスキスの流れ全てが網羅されていて、既に理解している部分も過剰に説明されているので、重要な部分がボケます。
メリットその2
自作ノートなら、自分の理解度に応じて適切にまとめられ、あとからノートを見返したときにスムーズに頭に入ってきます。
解説プリントや教科書は、重たくてかさばるのですべてを持ち歩くことはできません。
メリットその3
ノートに自分の理解不足なところをまとめると、情報が圧縮されて持ち運びがらくちん。いつも手元にすべての課題とエスキス、そのほかの重要な情報を置いておくことができます。
作図において必要な知識はたくさんありますが、本番ではすべて頭に入っていなければなりません。
メリットその4
課題ごとにノートにくりかえしエスキスをまとめることで、製図に必要な知識を記憶に定着させることができます。
エスキス手順のおさらい
ノートには、エスキス手順に沿ってまとめていきます。ノートへのまとめ方を書く前に、エスキスの手順を軽くおさらいしましょう。
一級建築士製図の最初のエスキスは問題用紙に描きこむ
問題用紙をマーカーで着色しながら読み込み、敷地図上で最初のエスキスを行います。
3階建の課題であれば3平面を、アバウトに描き込みます(写真は平成28年の本番の問題用紙です)。
私はいつも赤のフリクションペンで問題用紙に描き込みながら最初のエスキスを検討していました。
敷地図の下にある要求室の表中には、各室の面積計算を行った結果を書き込みます。
下書き用紙で面積調整と2回目・3回目のエスキス
下書用紙を縦に4等分に折り曲げ、筋を付けます。
一番左に面積調整と二回目のラフなエスキスを行います(これも私の平成28年本番の下書き用紙です)。
左上の赤字が面積を各階でバランスさせるための面積調整です。
その下に、1/700程度で二回目のエスキスをしています。なぜ1/700程度なのかは、別の記事で解説しています。
左から二列目に、1/400でプランニングを作り込みます。
右半分は万が一エスキスをやり直すときのために空けておきます。
製図用紙に1/200で作図
記述を終えたら、製図用紙に1/200で作図します(これは資格学校での私の作図用紙ですので添削されています)。
一級建築士製図課題のエスキスを1つずつ方眼ノートにまとめる方法
製図の授業の最初の数課題は、資格学校で配られた解説を丸写しします。
自分なりの言葉や図で表現し直してもいいと思いますが、全ての項目をノートに写し、もれなく理解することが重要です。
以下のように、エスキス手順に沿ってノートにまとめていきます。
一級建築士製図課題の問題用紙の貼り付け
まず、マーカーだらけの問題用紙を50%に縮小・カラーでコピーして、最初のページに貼り付けておきます。
A4サイズのノートを使う場合は、もう少し大きくても大丈夫ですが、貼り付けたプリントの周囲にメモできるスペースを残しておくと便利です。
50%程度の縮小であれば、授業中に課題に取り組んだ際のマーカーやメモ・面積計算も読み取ることができます。
要求室の面積計算をミスしていた場合は、次のページで計算しなおします。
問題用紙のコピーを貼り付けておくと、問題文・自分のメモ・マーカー部分が、ノート上で確認できて便利です。
一級建築士製図課題の最初のエスキスと面積計算
2ページ目に、最初のエスキスと解説をまとめます。
各部屋の面積計算等のポイントや、計算を間違えたところもここでまとめます。
一級建築士製図課題における設備内容・部屋を配置する階を検討する
3ページ目(次の項のノートの左側)に、設備や1階〜3階の部屋の配分について考え方をまとめます。
部屋の配分についての考えは、面積調整の際に自動的に固まりますので、私は実際のエスキスにおいて、この写真のようなポンチ絵を書くことはありませんでした。
でも初期の課題ではノートにすべての解説を描き写しました。
一級建築士製図課題の2度目のエスキスを1/700程度で検討
3ページの残りの部分から、1/700程度で二度目のエスキスを作図し、解説をまとめます。
一級建築士製図課題のエスキスにおける1/400プランニングは必ず作図しておく
次の見開き2ページで、1/400のプランニングを描き込みます。
私の場合、以下のようにフリクションペンで色分けして描き込みました。
✔ 色分けの例
赤:グリッドや切断面、出入り口、注記
青:壁や部屋名、家具など
黒:外構、柱、断面図の基礎と梁断面
初期の課題においては、解説の1/400の図を描き写すことで、1/400のときの表現方法を身につけることができると思います。
また、1/200の模範解答だけを見て、1/400に縮小してノートに描くと、自分なりの表現が確立していくと思います。
いろんな方法を試してみることをおすすめします。
1/400の作図は、後で1/200の作図練習に利用します。
エスキスをノートにまとめる時間がなかなかとれない場合も、この1/400だけは作成しておくとよいでしょう。
一級建築士製図エスキスの1/400図面の部門ごとの着色
1/400のプランニングは、部門ごとに着色しておくと、部門の配置を復習するのに便利です。
マーカーで着色すると、線がにじんだり、色が濃くなって見えにくくなるので、色鉛筆がおすすめです。
一級建築士製図課題の記述をまとめる
最後の見開きで、模範解答の記述を書き写します。
私のいた資格学校では、この作業を「写経」と揶揄して呼んでいました。
以下の記事にも書いている通り、写経の内容は、エスキスと密接に関わっています。
記述はかなりの時間を要する作業であるため、脳内で自動的に文章が作られるよう、なるべくフレーズを記憶しておくとともに、手が勝手に動くほどに慣れ親しむことが時短につながると思います。
ノート作りにおいて、写経を省略する方もいますが、私は全ての課題の記述をノートに書き写しました。
一級建築士製図における最初の2、3課題は特に丁寧にまとめる
課題をこなしていくうちに、ノート作りは徐々に省略していって良いと思いますが、最初は理解の不足している箇所を取りこぼさないためにも、丁寧に作成するべきだと思います。
一級建築士製図対策ノートはスキマ時間を活用して作る
実際の製図練習も多くの時間を要するのに、ノート作りにまで手が回らない、と感じる方も多いと思います。
でも、作図練習は「急がばまわれ」です。
製図練習は、平行定規などのある環境でないとできませんが、ノート作りは会社の昼休みにもできます。
一級建築士製図の課題ごとにエスキスをまとめる作業は慣れるとすぐに終わる
解説を描き写す作業は、はじめ多くの時間を消費しますが、徐々に慣れていき、中盤以降は手が自動的に動くようになります。
後でノートを見返すと、さらに理解が深まることが多々ありますし、ノートの冊数が増えるに従って自信が深まっていきます。
製図の勉強方法を記したその他の記事
以上、いかがでしたでしょうか。
当ブログでは、ノートの活用方法以外についても、以下のような構成で一級建築士の製図試験対策の記事を執筆しています。
製図はどうやって勉強するのか(今見ている記事です)
見学のメリットはどこにあるのか
室内レイアウトを苦手にしないために
スピード対策は効率的に
製図の作図手順を変更する
チェック項目を何度か唱えて覚える
道具は資格学校や先生の意見を鵜呑みにしない
1階の面積や各コーナーの面積を試算するには
面積調整で設計コンセプトも決まる
エスキスは1/700で考える
試験本番にトラブルがあってもあきらめない
これらの記事では、資格学校のエスキスの解説から大きく逸れること無く、なるべく普遍的なノウハウをまとめています。
お時間のあるときにぜひ覗いていってくださいね。